血液中のコレステロールや中性脂肪値が異常となる疾患です。空腹時に採取した血液を調べ、いわゆる悪玉と呼ばれるLDLコレステロールと善玉と呼ばれるHDLコレステロール、トリグリセライドなどの値を基準に診断されます。
血中にLDLコレステロールが増えると血管壁に入り込んで壁を厚くし、コブのような動脈硬化をつくります。これが進行すると血管が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしてしまいます。HDLコレステロールは逆に動脈硬化を防ぐ働きをしています。
近年、LDLコレステロールの中でも特に「超悪玉コレステロール」と呼ばれるsmall dense LDL-コレステロールが動脈硬化の真の原因であることが明らかになりました。
昭和大学糖尿病・代謝・内分泌内科勤務時には、健常人や2型糖尿病患者さん、心筋梗塞患者さんのsmall dense LDL-コレステロールを測定し、2型糖尿病患者、心筋梗塞の患者さんではsmall dense LDL-コレステロールが高値であることや、2型糖尿病でさらに腎症が進展すると濃度が高まること、糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬にはsmall dense LDL-コレステロールの低下作用があることなどをこれまでに報告してきました。
将来の心筋梗塞や脳梗塞の予防ためには、これからは脂質の量だけでなく、「質」に注目して管理することが重要です。